例に漏れず新譜のセルフ解説です。ライナーノーツ的な側面も。
過去
"Sensation Of Blueness"セルフ全曲解説 - in the blue shirt
EP”Cyanotype”セルフ全曲解説 - in the blue shirt
in the blue shirt 2ndアルバム"Recollect the Feeling"全曲解説 - in the blue shirt
in my own way e.p. セルフ全曲解説 - in the blue shirt
テーマ
公園は、誰もが楽しく過ごせる平和で穏やかな場所です。
でも、その公園の池には何かとんでもないものが沈んでいるかもしれません。
Park is a peaceful and serene place where everyone can have a good time.
But what exactly is hidden in pond in a pond of that park?
There may be something extraordinary sunk in there.
上記のリード文をいろんなとこに書いていますが、要点は2つです
- 打算を無くして思いを詰めたい
- 人の本心には容易に捉えられないが、別に問題はない
なんせイベントなどにあまり出ておらずかなり暇だったのでごちゃごちゃ考えていました。考え中のメモをそのまま貼っておきます。
- 打算はないが思いがある
- 制作には打算が伴う(こういう層をターゲットにしよう、売れ線の曲を作ろう、、トレンドや流行りのジャンルを拾おう、海外っぽくしようetc.)が、そういうのを無くしたい
- 世の中の打算濃度が高まりすぎている!!!
- おれは兼業なので打算を抜きやすい
- 儲けなくていい
- 誰も養ってない(ステークホルダーほぼ0)
- そもそも別にしなくていい
- 打算がないことは、必ずしも何も考えていないことを意味しない
- イマジナリーギャルとか、無鉄砲なアホ信仰みたいな、バイブスのみでこそ本質を捉えられるみたいな風潮に歯向かいたい
- 本質を捉えたギャルがいたとするならば、それは経験からよく考えており、ただ説明が下手なだけである
- 打算なき心のこもった創作は可能
- イマジナリーギャルとか、無鉄砲なアホ信仰みたいな、バイブスのみでこそ本質を捉えられるみたいな風潮に歯向かいたい
- 打算をなくしたいという打算(永遠のメタ構造)
- おれは兼業なので打算を抜きやすい
- 人の本心というのはマジでわからない
- モチーフを”池のある公園”にする
- 脱打算のメタファーとしての公園:
- 公共施設であり、皆勝手に過ごしている
- 何してもいい
- 公園は楽しいことが多い(朗らか、平和なイメージ)
- いろんな人がいるが、相互不干渉
- 何かする上で周りの顔色を伺っていない
- 逆に周囲の存在を全く無視してはいない
(マナー:ちんこ出さない、犬のフンは拾うetc.)
- “捉え切れない謎”のメタファーとしての池:
- 誰しもが公園であり、池がある(過言)
- ぱっと見の印象と本心は全然違う!
朗らかな人が内心怒っていたり、すごい考えていそうな人がなんも考えてなかったりする→池の中は不明、ブラックボックス - 公園の池の覗き込む→人の気持ちや本心を捉えようとする
- 本質的に人の考えを全て理解することはできない!
- ぱっと見の印象と本心は全然違う!
- 脱打算のメタファーとしての公園:
- モチーフを”池のある公園”にする
1. Concentration and Distraction
山田池公園でiPhone直接録音した環境音からスタート。アンビ音声をカットアップすると時空切り裂いてるみたいでかっこいいなと思いながら制作。
日常の環境音が切られていくことを、考え事を始めたり得体の知れないところへ突入したりするきっかけとする的な。
2. Intersection of Sets
変な曲作りたいなーと思いながら作った。なんか一時期ベン図おもろいみたいな話してて、丸と丸の重なりを考えようみたいな曲。タイトルは公園に来ている人の中には何にか共通項や似た考えを持った人がいるかも知れないが、そんなことは知りようもない、という考えから。そのアイディアでそのまま大喜利動画も作った。
3. Park With A Pond
タイトル曲。基本は公園散策のテーマソングを作ろうというのがスタート地点で、雰囲気を掴むために動画を出したりもした。前半部分のみ作って放置、後半のアレンジには苦戦。
アルバム過去2作にはタイトルトラックがなく、初の試みとしての盛り上がりが欲しく、(三曲目にして)大団円っぽく終わりたいという意図で後半部を作成。おれたちを良くも悪くも縛ったFuture bass、Saw波コードスタックのキメアレンジ自体は自分はかなり好きでアイディア自体は取り入れたいが、そのままやるともうダメなので・・・という考えで制作。
4. At Heart
2015年あたりからちらほら登場し、bon iverの"22 A Million"やCashmere Catの”9”などでわれわれをビビらせたデジタルクワイア、それを中心に据えた曲のアイディアを、衝撃受けた当時から考えていて、国内若手もガンガンやるようになったのでやべーと思って制作。2017年ごろににサンレコで気になっている機材やプラグイン、欲しいものを答えるコーナーがあり、それぞれ「プリズマイザー(市販されていない謎の存在)」「一生錆びず切れないギターの弦」と答えて変なやつみたいになったことを思い出した。
22 A Millionリリース当時のこのbon iverのオフィシャルプレスは今見てもおもろい
5. As a Fake
個人的に三点セットシリーズと呼んでいる(1stのWay ahead、send aroundや2ndのcasual remark)基本サンプル、ドラム、ベースの3トラックのみで組むやつ。新しいテイストへの挑戦はFidgetyでやったのでこれはマジで手癖のみのトラック。結局ベースも打ってない。トラックはサンプルとドラムのみ。元ネタはFirst Choice - Don't Fake It。ライセンス取るときに権利者が6人いてすげーなと思った、小銭しか渡せませんが貢献させていただきたい。
6. Stroll down
Park With A Pondに続く公園シリーズとして制作。前半の展開ができてから完成までがなかなか形にならずキツかった。As a Fakeのような2mixぶった切りに対して各パートの音素を切るタイプのカットアップワーク。半年後に触ったら全然違う曲になると思う。
7. Time to Go
時津町PR用の楽曲をフル尺化。こういうギターの使い方する曲は世間にもっと増えて欲しいなーと思う。AOR的なおしゃれギターも歪ませてガンガン刻むタイプのプレイもロキノンマナーもおれの好みの中心にはなく難しい。いわゆるカノン進行のもつ本質的ないなたさ(もっと極論いうとダサさ)ってなんなんやろなーと思いながら作った。
8. Fidgety
英語圏以外のボイスサンプルをカットアップする実験を繰り返した果ての成功例の一個として収録。
イーストサイドアジア感を過剰に過剰に押す意図は無く、この曲を聴いたストーンズ太郎と「日本から世界に発信する際に陥ってしまいがちな安易なオリエンタリズム」みたいな話をした記憶。サムライ!忍者!とか漢字モチーフとか、アジアをレップする上で、いわゆるタランティーノ映画的な誇張アジア観を当の本人が再生産してしまうみたいな懸念が強すぎて、逆にこういう土着したサンプルってむずいよなーと思いました。(逆にいうと欧米文化の浸透性には驚かされる、グローバル化とアメリカナイズのベン図の重なりがデカすぎる的な話)
言語が分からなさすぎて意図せず不謹慎な言葉や倫理に背くことを言っているように聞こえてしまうことは避けないとと思って意識はしてるけどやっぱ限界はある。なぜならなんも分からん言語だから。おれは第二外国語で中国語履修したはずなんやが。
9. Forward Thinking
おれの中のイマジナリーK-POPあるある、”同音程8分で近い母音の音素連呼しがち”から着想を得てメインのボーカルパターンを作ったが、具体例を出せと言われても古の日本輸入KポであるGeeくらいしか思い浮かばない。嘘認識疑惑がかなりあり、言語的な特徴から本当にそうなのかも知れないしそうではないのかも知れない。言語跨いで母音子音のフローを考えながら音楽を聴き続けた結果が自分のこのボーカルエディットであるが、最終的にはやっぱAIにやらせたいのでもうそろそろ体系化したい気持ちがかなりある。
10. Hold a Belief
6/8拍子の曲。ある時を境に三連系の拍子を異常に使うようになったが、これは3倍数グリッドの曲はDJツールになりづらいという事実からの逆張り(おれはライブセットでどうにかするからどうにかなる)なのかも知れない。
曲は町田さんがエンディングに生演奏で魂を注入してくれたのでいうことなし。ゴリゴリのバイオリニストである町田さんとの交流から得たものはかなり多く、制作の糧になりました。シンエヴァは映画館に8億回観に行ったらしいです。
11. Vision of Mind
以後エンディングまで6/8拍子。こういう808の使い方を最近しすぎているかもれない。おれは個人的にBreakthrough (for me)という前作収録曲とそのPVを異常に気に入っており、そして世間的には全然ウケなかったのが結構不満で、6/8ヒップホップビートをまた作ったのはそこへの反骨な気がしている。世間の反応がどうだとかは基本気にしたことがなく、そんなことを思うこと自体がかなり稀なのでよほどなんだと思う。
12. Be What I am
サンプル元のPhase 7 - Slip Awayはもうずっと前から使うと決めていて、前奏部をループ/刻みどちらでも活用。ソウル/R&Bをサンプルする黄金パターンとしてピッチアップ(33回転レコードを早回しで45回転)はもう大前提、ブーンバップ帯でヒップホップ、130まで上げてハウスやガラージ、もっと上げてブレイクス物やナイトコア的な使い方など多岐にわたるが、170前後のロックの生演奏の中核にブチ込んだ例はあまり無く、いろいろ試してこういう形ならいけるとたどり着いたのがこの曲。6/8でリズム遊びをするネタは前作in my own wayでかなり頑張ったが、6/8と4/4拍子をたゆたう感じはFork in the Road のunlucksiリミでもやってたのでそれもずっと頭のどこかにあったのかも知れん。リミックスをしてもらうのはそのまま自分の自分の制作に還って来るのである。
アルバムを作り始めた時点で「最後はフェードアウトで終わる」と決めていて(おれの曲でフェードアウトで終わるやつはほぼ0という事実もある)、ギリギリまでそういうつもりでいたのに、なぜかぶった切りエンドに変更。絶対に全貌は分からない人の本心に対して、やっぱ一石を投じたいよね的な謎の思考に陥り、文字通り石を池に放り込む演出にしました。レコーダーで生録を試みるもうまくいかなかったので適当な市販サンプルでフィニッシュ。最後適当な市販品で満足するのは自分ぽいなとも思う。
記念に、フル視聴の動画では実際に30分スマホいじってからタイミングよく石を投げ込む様子をカメラ回して撮影した。上半身裸のおっさんが池をチャリで周回しており、30分尺では絶対に一回は写り込んでしまうという状況であったが、もうこれ以上30分スマホいじってからタイミングよく石を投げ込む行為をしたくなかったのでそのまま公開。打算なし。