リリースしてからもう結構経ったのであらためて改めて・・・もともとかやるつもりでいたけどもうそろそろ書かないと作ったころの気持ちを忘れてしまいそうなので。 自分用メモっぽく書くので、興味があるとこは会ったときにでも直接聞いてください。 1.Dressing Up
2015年4月のHARUSAKI(参考http://www.mtv81.com/features/live-reports/harusaki-brings-netlabel-stars-to-tokyo/)くらいの時期にガンガンクラブでかけてた記憶。たぶんこのアルバムで一番古い曲。star slingerと連絡取り始めた時期に、彼に聴いてもらうために作ったので気持ちが入ってる感じがします。最後の音楽理論もクソもないフィルター開けながらのバイブス転調とラストのバイブス拍子チェンジ。バイブスがすべて。ハイハットワークにのみかろうじてインテリジェンスを感じていただけると。
2.Melting
デザイン・アートワークをやってる猛に「Daedelus - Curtains Don't Talkみたいな曲作ってや」と言われて作った曲。いま改めて聞くと劣化コピーみたいな感じも結構ありますが…2012年作のこの元ネタでは流石のサンプルワーク。フェード書いてるのかトレモロ的ななにかをかけてるのかは知らんけど、妙に印象に残る音使い。チョップ、カットアップの醍醐味の一つは”サンプルの頭かケツで音をバチっと切ることができる”ところだけど、それはシンセでいうところのADSRの制御にあたります。なので逆にそのA、あるいはRを丸めてやるっていうこともできるわけであり、それがこの曲のミソであると考えています。2mixの音の束に対してそれを行う、そしてその束の長さと束ねっぷりを試行錯誤するのは奥が深いです。自分の中ではキックとかのワンショットのコンプのアタックとリリースの設定を詰める行為の、もっと構成単位がマクロになったバージョンというイメージ。最後のシンセリードにTALのRolandのSH-101クローンのプラグインを使っていますが、これはdjnewtownへの弔いの気持ちから。
3.Wind Bell
同じボーカル素材のピッチをオクターブ差になるように上げたものと下げたものの2つを準備し、二人で歌ってる感じにするという発想。この手の掛け合い、なんとなくアラジンを思い出してしまいます。無理くり"looking for shooting stars"というラインをつぎはぎで作ってるけど、クリエイティブの方向性は新聞を切り貼りして犯罪予告メッセージを作る人と同じ。一発目のギターソロは自分が10代のころに録った謎の宅録ファイルからフレーズを拝借してます。ありがとうティーンエイジャーのおれ。初手9thの音から行く感じにthe band apartの川崎氏の影。いかにして自分の青春を制作に昇華するか。パクってるだけか・・・
4.Send Around
珍しく2016年制作のトラック。さきほどとアプローチは似ていて、こちらは声色の違う複数のボーカル素材ををエディットして、仮想の複数人マイクリレーをやろうというアイディア。トラック自体はヒップホップ的なアプローチ。曲作ってる途中になんとなくyoutubeでBattle Train Tokyoの動画を鑑賞し、テンションが爆上がりしてしまい、やったこともこともないのに808で8小節だけ安直にjuke・footwork風のセクションをぶちこみ。いい感じだったのでそのまま採用。フック→バースA→フック→バースB→フック→バースC→フックと展開、それぞれのパートで登場した仮想の人物が最後のフックで大集合するという構成。半日くらいで完成したこともあり、いい感じの浅はかさがあるので、アルバムの前半と後半を分ける箸休め的な意味で入れました。実は制作時期で曲順を決めていて、前三曲が「研究室配属以前」、後ろの三曲が「研究室配属以後」に作った曲となっています。将来自分でこのアルバムを聴き返す機会があるならば、前半は吉田山での記憶が、後半は桂での暮らしが自動的に想起されるしくみです。便利ですね。もし京都に来る機会があったならば、ぜひ左京区では前半を、西京区では後半を聴いてください。知らんけど。
5.Mellow Out
ということでここから「研究室配属以後」。1年前くらいに作ったまま放置してたけど、未完成の曲の中の1軍として長いこと鎮座してた曲。”ジャングリー”という言葉で形容されるようなギターポップ・ネオアコのバイブスをいかにトラックメイクに注入するかというテーマ。もっと具体的に言うとポストカード周り、しいて言うならJosef K意識。ハイフレットにカポを装着して単純なローコードをジャカジャカ弾くという行為はそういう音楽を通過しないと意外とみかけないのではという気づき。エンディングにどうしても"パラッパラッパーのサントラっぽい雰囲気のあるストリングス"をいれたいと考え、わざわざ初心者向けやさしい対位法みたいな本を買ってきたものの、結局対位法のことは全然わからぬまま、バイブスのみでストリングスのアレンジをしました。この曲とこの次の曲のメロディラインはお気に入りです。
6.Way Ahead
悲しきかなイントロの部分だけ作って一年以上HDDの駄曲フォルダに塩漬けにしていたプロジェクトファイルを、”インスタグラムにパッド叩いてる動画を上げたいが、新規に曲を作るのはめんどくさい”というシャバい動機のもと発掘した結果いい感じになったという曲。アルバムのなかで一番のお気に入りを上げろと言われたらこれかも。SNSのいいね!の魔力にほだされた安直なクリエイティブでもいい曲ができるのであれば、それはそれでよし。なんとなくモテたいみたいな低次元な承認欲求も捨てたもんではないのかも。
7.Beagle
アルバムを出すことを決めてから作り始めた唯一の曲。せっかくリリースするのに、既存の曲をかき集めた感が自分の中で出てしまうのが嫌だったので、「完成しただるまに目を描き入れる」に相当する行為をしたいと考えて作りました。タイトルに深い意味はなく、一番飼ってみたい犬種の名前を与えてみました。
なんだかんだでこのアルバムは自分の中で”京都での大学生活”の思い出とがっつりリンクしています。7年も学生したことになりますが、来年以降、自分はどの街でどんな音楽を作っているのでしょう。