8月某日
この世の創作物を眺めてみると、技術とかとは別に気合や覚悟みたいものが十二分にのった作品存在していて、鬼気迫るようななにかが感じられたりするのである。そういったものはやはり馬力というか戦闘力?みたいなものが大きいので、実際に体験すると、強く感動してしまったり、怖くなったりなど、どちらの方向であれ、気持ちが大きく振れるような気がするし、そういうのがいいなと思っていたわけ。そんな中、自分の完成したCDリリース用の曲を並べて聴いてみるも、そういったものは一切感じられず。徐々に、自分にとっての音楽が、それを習慣にしているおじいちゃんにとってのラジオ体操みたいなものになっているように思える。強制されて作らされたり、特別に気合をいれて作った曲などは一曲もなく、ここ3年くらいでなんとなく作られたものが並んでいるのを見ていると、日記を振り返って読んでいるかのような不思議な感覚になってしまう。ラジオ体操よろしく、心の健康を維持するために健やかに曲を作るのも悪くないのかな、などと考えていると、体の健康のためにも筋トレやランニングでもはじめたほうがいいのかなという気分に。
8月6,7日
珍しく京都観光にいそしむ。京都にもう6年も住んでいるのに、いまだに京都のおすすめスポットも、街中のうまい飯屋もよく知らないのは情けない気持ちになってしまう。観光弱者なのでわりとどこへ行っても楽しいんだけど、なかでも下鴨の茶寮宝泉は本当に最高でした。静かな部屋で庭を眺めながら甘いもん食ったりお茶飲んだりするのが一番ですよねみたいなのが、日本の心であるならば、我々はそれに従うべきであろう…みたいな。最近はどうもナショナリズムについて考えさせられるようなニュースが多い気がするし、なんとなく国民性みたいなことについて考えてしまうけど、そういったものは置いておいて、単純に昔の人が飽きずに続けてきたことは往々にしてよいですね。あと、家族、恋人、友人などと楽しくすごすのが幸せってことは論語で孔子が言ってるくらい、昔から大事なことなんだよと改めて。
8月10日
ライブセットを組むためにひたすら素材を書き出しまくった後、気分転換に口ロロの”恋はリズムに乗って feat.大木美佐子”を早回ししてへらへらしながら聴いていたらパソコンに足を思いっきりぶつけてしまい、画面はフリーズ、そしてその後一切起動すらしなくなってしまう。「時間よ、戻れ!」みたいな小学生レベルのことしか思い浮かばなくなるくらい落ち込む。無意味に蘇るは泣きながら10万のローンを組んだ時の記憶。深い悲しみに包まれ飯を食うとこも忘れたまま東京へ。親切なことに安東が駅前まで迎えに来てくれたので迷うことなくblock.fmのスタジオへ。誕生日の泰明を祝いながらへらへらラジオの配信に参加。酒のせいもありm-floのタク・タカハシ氏に驚くほどへらへらした状態で挨拶をしてしまうという粗相も。距離感が遠すぎると一転してなれなれしくなってしまう現象のことを安東がよく「タモリとの距離感」に例えていたことを思い出す。中居くんとか言ったところで「あの超有名グループSMAPのメンバーをくん付けなんて無礼だ!」なんていわれることはないのと同じ。その後トラックメイカーとしてのお勤めのため新宿MARZへ。おなじみのメンバーに加え、初めて喋ったLUVRAWさんやDEDEMOUSE氏、めちゃくちゃ久しぶりのtaquwamiさんなど。前述の”覚悟の乗った作品”のことを考えるきっかけになったものの一つに氏の「Moyas EP」があるんだけど、その話はビビッてできませんでした。自分が多大なる影響うけたDE DE MOUSE氏、昔なら鼻息を荒くしながら「めっちゃファンなんですう」と言っておしまいだったんだろうけど、今は自分は音楽が作れるし、なんとなく聴いてもらえばそのリスペクトが伝わるような気がしていたので、そういう話はあまりせず。自分の出番が終わったあとにニコニコ話しかけてくれたのは彼の人柄の良さなのか、自分の気持ちが届いたからなのかはわかりませんが。ともあれタイムテーブルで並べてくれた杉澤さんに感謝。新宿MARZでのパーティALPSに出演するのは3回目だけど、「酒を飲んでバカになるといいよね」みたいな空気が共有されてるのが最高。おれはあんま飲まんけど。
8月11日
朝からセイメイと新宿のサウナでマジレス祭りを開催した後、横浜のDMM VR THEATERへ。VRDG+H #3なるイベントを鑑賞、噂の3DCGホログラフィック映像は想像以上で、なかなかのインパクトがありました。なんとなく感想を整理しながら歩いていると、都合よく出演を終えたTomgggさん大橋さん風邪ちゃんのチームぐぐぐとコーラスプラッシュがいたのでべらべらと喋りすぎてしまいました。大橋さんもわりとよく喋るほうだし、なんとなく自分の話を分かってくれると勝手に思っていたのでそれに甘えてしまったかたちにはなるけど、さすが自分が求めていたような興味深い話をたくさんして頂きました。やさしい人は最高。夕方に飯屋を探していると突然tomadさんに呼びつけられたので、喋り足りなかった自分はまた最近考えていることをべらべらと。そうしているうちに妙にスッとしたところに着地するのが怖いところで、「兼業農家」という謎のキーワードによって腑に落ちた感じになり、マルチネ社長、やはりダダ者ではない…と思いながら会計へ。そこで彼が財布代わりにしているジップロックを取り出すのを見て、単純にバグってんなこいつと思って終了。彼は風のように去っていく。何のために呼ばれたのかもよくわからず。最後に7インチにリミックスを提供した縁で渋谷7th floorでのboyishのアルバムリリースパーティへ。インディっぽいイベントに顔出すのは久しぶりだったけど、懐かしい面々にあえて安心。新幹線の時間もあってほとんどライブもみることなく帰宅。帰りの新幹線で大橋さんがしていた「人が創作をやめるとき」の話を思い返す。自分も周りも、知らず知らずの間に音楽ありきで生活を見すぎているようにも思える。それはいいことなのか、悪いことなのか。どちらであっても、今更やめられるものでもないが。
8月13日
トレッキートラックスのツアーファイナルを大阪で。よき夜でした。numarkのorbitとかいうふざけたコントローラーがいかにいい機材かがわかってきました。体の動きと音が一致するだけでなぜ気持ちよく感じてしまうんだろうと思うけど、やっぱ本来はそうあるべきだからなんだろうなとも思います。鐘は強く叩くと強く鳴るみたいな。それは自然なことであり…イベント後、意気揚々とスパワールドへ向かうも、お盆料金という名目で心外な料金を提示されたのでとぼとぼと帰宅するのも人生って感じがしてよいですね。知らんけど。